大学の交換留学やワーキングホリデー制度を利用して韓国・ソウルに渡る日本の若者が、ここ数年で目に見えて増えている。日韓間のワーキングホリデーは1999年から続く制度で、発給上限は年間1万人と定められている。さらに2025年10月からは、これまで生涯1回だった参加回数が2回まで認められるようになったため、利用のハードルはさらに下がった。

一方で、いざソウルで部屋を探す段階になると、多くの日本人が「保証金」「ウォルセ」「チョンセ」といった韓国特有の賃貸制度に戸惑うことになる。本記事では、短期滞在の日本人が実際に選んでいる住居タイプと、契約時の注意点を専門的な視点から整理する。

1.まず理解すべきソウル 住宅事情: 賃貸構造「チョンセ」と「ウォルセ」
韓国の賃貸契約は日本の「敷金・礼金」文化とは根本的に異なる仕組みになっている。

チョンセとウォルセの基本
(1) チョンセ(伝貰)
入居時に高額な保証金(数百万〜数千万円相当)を一括で預け、居住中の家賃は発生しない。退去時に全額返還される制度。
(2) ウォルセ(月貰)
比較的少額の保証金+毎月の家賃を支払う、日本の賃貸に近い制度。
外国人の契約傾向
外国人向け賃貸情報サイトによれば、外国人でもチョンセ契約自体は可能だが、実際の契約者の9割以上がウォルセを選んでいる。理由として、韓国への高額送金の手続きが煩雑であること、外国人がチョンセ専用ローンを組みにくいこと、そしてチョンセは2年以上の長期契約が前提となるため語学留学やワーキングホリデーのビザ期間と合わないことが挙げられている。つまり、1年以内の滞在ならウォルセ一択と考えて差し支えない。
相場感
賃貸制度の専門解説によると、ウォルセの保証金相場はおよそ30万〜50万円以上、家賃は1万〜5万円以上が目安とされ、近年は物価上昇や政策の影響で保証金・家賃相場そのものが年々上昇傾向にある点も押さえておきたい。

短期滞在者に人気の住居タイプ3選
コシウォン(考試院)

(1) 特徴
ワンルームをさらに小さくしたような簡易個室で、保証金が不要または少額な点が最大の特徴。契約の柔軟さと保証人不要という気軽さから、短期滞在で部屋探しが難しい留学生が保証人や高額保証金なしで入居できる点が支持されている。
(2) 相場
一般的なコシウォンの家賃は月額およそ30万〜50万ウォン(約3.2〜5.3万円)が相場。近年は日本語・英語対応の外国人向けコシウォンも増加しており、ソウル・弘大(ホンデ)エリアでは保証金30万〜50万ウォン程度、月の利用料は管理費込みで90万〜100万ウォンという、駅近・生活インフラ完備の“ホテルと長期賃貸の中間”のような高付加価値タイプも登場している。
オフィステル
(1) 特徴

「オフィス」と「ホテル」を組み合わせた造語で、日本語で言う「1R/1Kマンション」に最も近い。ベッド・机・冷蔵庫・洗濯機などがあらかじめ備え付けられた物件が多く、駅近の商業エリアに集中して建てられているため利便性が高い。
(2) 相場
ワンルーム・オフィステルの家賃は月約50万〜80万ウォン(約5.3〜8.5万円)という調査がある一方、保証金はおおよそ100万円相当、家賃は月額10万円前後とする不動産会社の案内もあり、立地とグレードで大きく変動する。
(3) 注意点
オフィステルは本来「業務用」の建物として建築されているため、すべての物件で住民登録(転居届)ができるわけではなく、それができない物件では法律上保証金が保護されないリスクがある。契約前に「転入届(住民登録の住所変更)ができる物件かどうか」を必ず確認したい。
シェアハウス
保証人不要・短期契約可・国際交流を重視するなら、外国人向けシェアハウス運営会社を利用する方法もある。日韓の若者を中心に国際交流を掲げる運営会社は保証人不要、3日以内のスピード予約が可能と案内しており、最短1ヶ月からの短期契約に対応し、退去時には設備の破損がなければ清掃費を除いた保証金が返還される仕組みを採用している。1つの家に複数国籍の入居者が同居することも珍しくなく、語学交換の場としても活用されている。

ソウル 住宅事情: 約時に外国人が必ず押さえるべき3つの手続き
契約書の内容確認
韓国の不動産契約に必要な書類は基本的にパスポートのみで、ビザや外国人登録証、印鑑は不要な業者も多い。ただし保証金・家賃・管理費・契約期間・光熱費の負担区分は必ず書面で確認すること。
外国人登録の住所変更届
滞在先の住居が決まったら、14日以内に出入国・外国人庁へ住所変更(滞在地変更)の届出を行う必要がある。これを怠ると在留手続き上の不利益につながる可能性がある。
3) 転入届と確定日付(保証金保護のための制度)
転入届(住所地登録)は保証金トラブル(いわゆる「保証金詐欺」)を防ぐために非常に重要な手続きとされている。特にチョンセ契約を検討する場合は、登記簿謄本で抵当権の有無を必ず確認したい。
言語面が不安な場合は、韓国語に自信がなくても契約を進められるよう、外国人専門の仲介チームを持つ不動産アプリや、比較的保証金の低い短期ワンルーム・シェアハウスを専門に扱う業者を利用するのも一つの方法である。
持っていくと安心なアイテム
韓国の電圧は220V(日本は100V)のため、日本から持ち込む家電をそのまま使うと故障の原因になる。変圧器・変換プラグは渡韓前に日本で用意しておくのが安全。
海外旅行用 変圧器(100V→220V対応)
韓国向け変換プラグ(Cタイプ・SEタイプ)
コシウォン・狭小オフィステル向け 折りたたみ収納ラック
※上記はいずれも商品カテゴリの検索結果ページへのリンクであり、特定商品の推奨ではない。渡韓前に現地での使用条件(電圧・プラグ形状)を必ず確認のこと。
まとめ
1) 1年以内の短期滞在なら、保証金が低く手続きも柔軟な「ウォルセ」が現実的な選択肢
2) コシウォン・オフィステル・シェアハウスはそれぞれ費用・設備・交流のしやすさが異なるため、滞在目的に応じて選ぶ
3) 入居後14日以内の住所変更届と、保証金保護のための転入届は必須の手続き
4) 電圧・プラグの違いに注意し、変換グッズは事前準備を
ソウルの住宅事情は複雑に見えるが、制度の基本さえ理解しておけば、留学やワーキングホリデーの初期でつまずくリスクは大きく減らせことができます。


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